薬害肝炎原告団・弁護団は、全員一律救済の議員立法について意見をまとめるために、本日午後に原告・弁護団会議を開きました。
全員一律救済法案に対する原告団・弁護団の意見は、以下のとおりです。
2007年12月24日
議員立法(薬害肝炎被害者全員一律救済法)に対する
原告・弁護団の意見
薬害肝炎全国原告団
代表 山口美智子
薬害肝炎全国弁護団
代表 鈴木利廣
1 立法趣旨・目的
本件は、少なくとも1万人以上ものC型肝炎ウイルス感染被害者を発生させた薬害である(以下、本件薬害という)。
本法は、国が、医薬品の許認可権を有するものとして、本件薬害を発生させたことを反省し、その責任に基づいて被害者全員の一律救済を行うことを目的とする。
2 責任・謝罪
国は、本件薬害被害について責任があることを認め、被害者の苦痛に心から謝罪する。
3 和解金給付
(1)全員一律救済
フィブリノゲン製剤(フィブリン糊としての使用を含む。)及び第Ⅸ因子製剤(クリスマシン、PPSBニチヤク)の血液製剤(以下、血液製剤という)について、投与時期を問わず、薬害被害者に対し、症状に応じて一律の和解金を給付する。
なお、給付後に症状が進行した場合、その症状に応じた和解金と既に受領した和解金との差額を給付する。
(2)対象者、因果関係
薬害被害者とは、後天性疾患について血液製剤を投与され、C型肝炎に感染した者及びその遺族をいう。但し、他原因のみが感染原因であることが明らかである場合を除く。
(3)投与事実の証明方法
血液製剤投与の事実の証明は、医師ないし医療機関作成による投与証明書等の客観的な資料による。
(4)司法認定
投与事実、因果関係の有無及び症状は、裁判所が認定する。
第三者機関による薬害被害者の認定については、過去の同種の認定制度の運用実態に鑑み、薬害被害者を切り捨てることになることから、望ましくない。
(5)消滅時効・除斥期間の制限
本法の施行後、3年以内に請求権を行使した者に対して、消滅時効の主張をせず、除斥期間を適用しない。
4 恒久対策と薬害再発防止等
(1)恒久対策
薬害被害者が安心して暮らせるよう、医療体制の整備、治療費援助、健康管理手当の支給等の施策を実施し、福祉の増進を図るとともに差別の除去等に必要な措置を講ずるよう努める。
(2)薬害再発防止
本件薬害の検証事業を行う第三者機関を設置し、薬害の再発防止に最善の努力をし、薬害・医薬品の副作用に関する情報公開などを推進する。
(3)協議機関の設置
恒久対策及び薬害再発防止等について、国と原告・弁護団との間に定期協議の場を設置する。
以上
以上の原告団・弁護団の意見の趣旨は、従前から私たちが示していた「
肝炎問題に関する全面解決要求書」に記載したものと同じものです。
一部報道によると、政府は、全員一律救済法案に、薬害肝炎の「解決が遅れた責任」を明記することを検討しているようです。
しかし、薬害肝炎原告団・弁護団は、国に対し、薬害肝炎の「発生・拡大責任」を明確化するように求めています。「解決が遅れた責任」では、原告団・弁護団が求めている「発生・拡大責任」とは大きな隔たりがあります。
福田首相の指示した議員立法が、本当に全員一律救済を目的としているのであれば、その責任根拠は、やはり薬害肝炎を発生・拡大させたことにあるはずです。「解決が遅れた責任」というような中途半端なことで済ませようとするのであれば、本当に全員一律に救済するのかどうか、疑問を抱かざるを得ません。
福田首相には、ぜひ私たちの考えをよく理解していただきたいと思っています。
ところで、今さっきオンエアされていたTVタックル(テレビ朝日系)でも、自民党の小坂憲次衆議院議員は、「
国の責任があるかないかではなくて、それによって被害に遭われた方々に、どういう対策を講じるか、これは政治の責任だと思うんですね」と発言しました。
これに対し、政治評論家の三宅久之さんから、「いやいや、
国の責任はあるんですよ」と反論されていました。
もし、小坂議員の発言が現在の与党の考え方であるとすれば、原告たちの言っている「救済」の意味を、誤解しているといわざるを得ません。
薬害肝炎原告たちの願いは、国の責任を認めてほしい、過去の過ちを反省して謝罪してほしい(そして、薬害を二度と起こさないでほしい)というものです。責任の明確化と謝罪なくして救済はありません。
(東京弁護団・まつい)