薬害肝炎原告団・弁護団の代表者たちは、本日17時30分からの30分間、福田総理大臣と面談しました。薬害肝炎で総理大臣面談がかなうのは初めてのことです。
面談は、今日になって急遽決まったものです。
総理と直接面談できたのは、原告全員ではありませんでした。原告団代表の山口美智子さん、九州原告の福田衣里子さん、大阪原告の桑田智子さん、東京原告の浅倉美津子さんの4名だけです。全国弁護団代表の鈴木利廣弁護士、大阪弁護団事務局長の山西美明弁護士が付き添いました。
原告たちは、福田総理に対し、それぞれの被害体験を語りました。
また、浅倉さんは、提訴後に肝がんで死亡された東京原告13番さんの遺影を携えて行きました。そして、「私は生きたかった」という東京原告13番さんの生前の言葉を、福田総理に伝えました。
福田総理は、メモを取りながら、真摯に原告たちの話を聞いていたそうです。そして、原告たちに対し、次のようなことを述べたということです。
「少しでも皆さんに幸せになってもらいたい。」
「厚生労働省も反省しなければいけない。命の尊さを考えて、二度と同じようなことを起こさないようにしなければならない。」
「皆さんの活動のお陰で、肝炎患者に対する医療費助成の問題で、国が重い腰を上げた。これから変わっていく、良くなっていくこともある。ご苦労をかけて申し訳なかった。」
「長年にわたり心身ともにご苦労をお掛けした。皆さんの長い長い苦労に報いるように、立法で全力を尽くしたい。」
本日の面談で、福田総理は、国の「責任」という言葉で、責任問題について明確に語ることはありませんでした。
しかし、何度かにわたり、「申し訳ありませんでした」「重ねてお詫び申し上げたい」という言葉が出たそうです。また、その文脈からは、原告たちの被害そのものに対する国の責任に基づいて謝罪しようという思いは感じられたということでした。
原告団代表の山口さんは、記者会見で、次のように述べました。
「福田総理は、初めて薬害肝炎被害のことを聞かれたと思うが、私たちの顔を見ながら、しっかりと受け止めていた。何度も、これまで頑張ってきたことに対し、ねぎらいの言葉があった。
5年間、自分たちの身を削って、がんばってきたこと、家族や私たちの生活を犠牲にしながら、闘ってきたことが、今日の総理のねぎらいの言葉で、少しすっきりした。
ただ、私たちの求めている全員一律救済は、被害を起こし、拡大させたことが盛り込まれなければ、本当の議員立法にはならない。また、肝炎患者全体のためにも、議員立法と一緒に、医療費助成法案も併せて作ってほしいとお願いした。」
福田総理は、面談の最後に、「また来年、みなさんでお出かけ下さい。」と述べたそうです。
原告たちは、この総理の言葉は、全面解決に掛ける総理の意気込みであろうと受け止め、来年には本当に原告たちの願う全面解決をして、今度こそ、原告全員で総理と会うことができるのだと、大きな期待を掛けています。
福田衣里子さんは、「
総理は、私たちに幸せになってほしいと言われた。私の幸せは、350万人の肝炎患者を救ってくれるということ。ねぎらいの言葉ではなく、肝炎患者を救うために全力を尽くして欲しい。」と語りました。
福田総理、この今日の原告たちの大きな期待と(少し芽生えた)信頼を、絶対に裏切るようなことはしないで下さい。
本日の原告たちとの面談で、昨日発表した薬害肝炎原告団・弁護団の意見書の意味をよく理解されたと思いますので、私たちの意見を反映させた議員立法の成立に向けて、全力で最善を尽くして下さい。
(弁護士・まつい)